2024年度事業報告
1.改革路線の継続
熾烈な大学間競争を勝ち抜き、中長期的な大目標を実現するためには、迅速な意思決定により、他大学に勝るスピードで改革を実行することが不可欠です。こうした考えのもと、学校法人芝浦工業大学(以下「本学」)のガバナンス改革では、私立学校法に基づき、理事会が最終的な権限と責任を担う最高意思決定機関であることを明確化しました。また、設置学校の中心である大学の学長については、そのリーダーシップを確立することを目的とし、従来の教職員による選挙方式を改め、学長候補者選考委員会が候補者を選考し、理事会において決定する「学長候補者選考委員会方式」を導入しました。更に、理事及び評議員の選任についても、「選考委員会方式」へと改めています。加えて、2025年に施行される私立学校法の改正に対応するため、「ガバナンス改革検討委員会」を設置し、本学の更なるガバナンス改革の推進に向けて議論を重ね、その成果として寄附行為を改定いたしました。このように、鈴見理事長体制の下、芝浦工業大学が創立100 周年を迎える2027 年に、「我が国の理工系私学としてトップの社会的評価を得る」という中長期目標の実現を目指し、教職員が一丸となって全力で取り組んでおります。創立100 周年を見据えた重点施策テーマとしては、改革路線の継続による組織運営体制の強化、学校法人を持続可とするための盤石な財政基盤の確立、教育?研究改革及び学生支援の強化、グローバル化とDE&(I ダイバーシティ、公平性、包摂性)の推進、産学官連携の促進、戦略的広報活動、DXの推進、学生募集及び女子学生の拡充、キャリア教育の充実、キャンパス及び諸設備の整備等が挙げられます。これらの実現に向け、「将来ビジョン検討委員会」等において検討を重ね、経営資源の戦略的な選択と集中を図っております。
■ 理事会、監事会議等
2021年6月27日に発足した現理事会は、鈴見理事長、職務上理事である山田学長を含む12人の理事体制となっています。監事は現在2人の常勤監事、1人の非常勤監事の3人体制となっています。この理事長、理事会、監事会議と学長の連帯感のある体制により、 大学改革を迅速かつ適切に展開する環境が整っており、2024年度も教職学協働でスピーディな改革を実現してまいりました。また、2025 年4 月より施行される改正私立学校法に先駆けてガバナンス検討委員会を立ち上げ、新私学法に合致した本学の更なるガバナンス改革を実現いたしました。
■ 働き方改革への対応
完全週休二日制と時間単位年休の運用をスタートさせ、職員の時間単位年休取得率は55%でした。また、2022 年及び2025 年の育児?介護休業法改正にあわせた規程改定を行い、育児休業の分割や出生時育児休業(パパ育休)の新設、所定外労働制限の対象者の拡大、子の看護等休暇の取得事由の拡大を可能としました。更に、慣らし保育や保育園に入所できないことを理由とする育児休業の延長を、子が最長3 歳になるまで認め、仕事と家庭を両立できる制度を構築しました。教職員の働き方改革をより推進すべく、2025 年度には、夏期一斉休暇の日にちの固定、週の起算曜日を土曜日へ変更、1 年単位の変形労働時間制適用である教諭の介護育児に伴う時差勤務を実施します。
■ 教員人事評価制度の導入
教育職員の人事評価制度については、2023 年度に学長及び学長室メンバーとともに、人事評価項目の整理及び評価方法の詳細設計を行い、決定した指標に基づいて試行を実施しました。試行を通じて得られた各教員からの意見を反映し、2024 年度より本格運用を開始いたしました。これにより、各教員の論文登録が活性化し、大学全体としての論文数の増加、研究力の強化につながりました。
■ 研修体系の改善
2024 年度は、2023 年度に大幅に再編した事務職員の研修体系を更に拡充しました。主軸となる階層別研修では、AM等級向け?M等級向け研修を新設し、2024 年度の当該等級への昇格者が参加し、新等級に求められる行動?役割について学習し再認識しました。また、教職員からのニーズに応える形で、ハラスメント相談員向け研修を実施しました。新規入職職員向けの導入研修では、新規カリキュラムとして、Notion研修?有元史郎 MEMORIAL CORNER見学を実施しました。自己啓発支援では、TOEIC IPテストオンラインを導入し、一般受験と比較し、職員の負担が少ない形で受験できる環境を整備しました。
2.100 周年記念事業
2027 年に100 周年を迎える芝浦工業大学では、「理工系私学のトップランナー」という大目標に向けて、建学の原点に立ち返り、社会の要請に応えた教育の質のさらなる向上を目指し全学の求心力を高め、新たな挑戦に取り組んで参ります。
■ 将来ビジョン検討委員会における検討
芝浦工業大学は、経営ビジョン「我が国の理工系私学としてトップの社会的評価を得る」に向けたブランディング戦略及び学生満足度No.1 を目指すことを目標としています。そのため本学の発展構想及び各キャンパスの価値最大化などにより経営資源の活用を図り、将来構想(将来ビジョン)を検討することを目的に2020 年9 月から「将来ビジョン検討委員会」を設置しテーマごとに検討を進めています。2024 年度は主に「学部定員1 万人に向けた検討」をテーマに分科会をおこないました。2027 年には「アジア工科系大学トップ10」と「学生満足度No.1」の社会的評価を得るとともに盤石な財務基盤の確立を目標としています。
■ 芝浦工業大学創立100周年記念事業「駅伝プロジェクト」
芝浦工業大学創立100 周年に向けた記念事業の一環として、2018 年度から始動した「駅伝プロジェクト」を2024 年度も引き続き推進しました。我が国の国民的行事とも言える東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)を通じ、芝浦工業大学の知名度やブランド力を向上させるとともに、文武両道の逞しい理工学人材輩出を目的としています。2024 年4 月には新たに部員9 人が入学し、駅伝部専用寮である白亜寮に入寮、勉学と練習の両立に励みました。第101 回箱根駅伝予選会では、芝浦工業大学駅伝部が23 位(43 チームエントリー)を記録し、個人では宮本大心さん(環境システム学科1 年)が第101 回箱根駅伝の関東学生連合チームメンバー16 人に選ばれ、本学史上4 人目となる箱根ランナーの誕生に期待がかかりました。当日の区間エントリー変更により出走が叶いませんでしたが、全学的な応援体制の構築により100 周年への気運をより高めることに繋がりました。駅伝プロジェクトでは、創立100 周年の2027 年までにチームとしての箱根駅伝本戦出場を目指してまいります。
■ 寄付金戦略及びネーミングライツ事業
2021 年度より開始した返礼品寄付制度は多くの方に利用いただいており、卒業生企業や関わりのある企業の協力を得て引き続き新たな返礼品商品の拡充を図りました。また、2023 年度より開始した豊洲キャンパス交流棟大講義室の座席芳名プレート寄付にも多くのご協力をいただき、約95人のお申し込みをいただきました。さらに芝浦工業大学の教育研究環境を向上させること及び施設等を有効活用するため、新たに開始した大学施設のネーミングライツ(施設命名権)事業においても、Sky株式会社と本事業初となるネーミングライツ契約を締結しました。芝浦工業大学豊洲キャンパス交流棟3 階カフェテリアの愛称が「Sky Cafeteria」(2027 年8 月31 日まで)となり、本契約締結を機にSky株式会社との連携を高め、その愛称が多くの学生に親しまれ定着するよう努めてまいります。
3.盤石な財政基盤の確立
芝浦工業大学が永続的かつ健全性をもって発展するためには、盤石な財政基盤を堅持しつづけることが必要であり、その実現のため、中長期的な財政見通しを踏まえた計画的な財政運営に努めています。また目標とする財務指標を掲げ、特に事務経費は厳格な管理を行い、施設設備整備計画は取捨選択、複数年計画とするなど、支出の抑制を図っています。2024 年度の収入面は、大学院修士課程の学生数増を要因として学費は前年度比で増収、国プロの契約件数増加等により受託事業収入も前年度比で増収となり、収入全体としても前年度比で増収となりました。一方で、支出面については、諸物価の高騰や奨学費が前年度比で増加したことなどを要因として支出全体で前年度比増となりました。近年の物価上昇や将来の少子化を展望すると、経営の環境は予断を許しません。大宮キャンパス再整備工事が進行し、続いて柏中学高等学校の校舎整備等の大型投資も控えており、収
支面の強化と内部留保の充実が課題となります。今後も外部資金の積極的な獲得や支出の抑制等を推進し、芝浦工大ビルでの収益を下支えとしながら、盤石な財政基盤を確立してまいります。
支面の強化と内部留保の充実が課題となります。今後も外部資金の積極的な獲得や支出の抑制等を推進し、芝浦工大ビルでの収益を下支えとしながら、盤石な財政基盤を確立してまいります。
4.教育研究改革
工学部では2024 年4 月から学科制を廃止し、複数の専門分野を融合させた6 課程?9 コースを擁する課程制を導入しました。システム理工学部では2026 年度の開設を目指し、社会に要請されるグリーン?デジタル?ウェルビーイングの分野を拡充した課程制の導入と学生定員の増員申請の準備を進めました。現在、大宮キャンパスでは再整備計画であるO-CAMP2027 を推し進めており、その一環として環境に優しい新校舎建設が始まっています。デザイン工学部ではICTやデータサイエンスを基盤に、UXコース、プロダクトコース、社会情報システムコースへ転換し、社会課題に取り組む人材を育成しています。また、2028 年度入学者より学生定員を増員すると同時に1、2 年生の就学地を豊洲キャンパスに移し、都心型一貫教育の実現に向けた施設整備が着々と進んでいます。建築学部ではAPコース(Advanced Project Design Course:先進的プロジェクトデザインコース)、SAコース(Space and Architectural Design Course:空間?建築デザインコース)、UAコース(Urban and Architectural Design Course :都市?建築デザインコース)の3 コースで夫々の教育方針に沿ったカリキュラムを行い、専門性の高い人材育成を行っています。理工学研究科では修士課程?博士課程ともに更なる高度な専門分野の修得から即戦力として社会貢献できる技術者?研究者を育成しています。博士課程では、次世代研究者挑戦的研究プログラムに採択され、博士課程学生の研究環境整備やキャリア支援を行い、挑戦的?分野
融合的な研究からイノベーション創出に貢献できる研究者を育成するプログラムが始まりました。修士課程では2028 年度実施予定の学位プログラム制に向けた準備を開始しました。
融合的な研究からイノベーション創出に貢献できる研究者を育成するプログラムが始まりました。修士課程では2028 年度実施予定の学位プログラム制に向けた準備を開始しました。
5.グローバル?DE&I推進
2023 年度末をもって「スーパーグローバル大学創成支援」(SGU)事業は完了しましたが、引き続き学生が世界に通用するグローバル理工系人材として世界に羽ばたけるよう、学長のリーダーシップのもと、国際化推進に努めました。2024 年度においては、海外での物価高や急激な円安による海外渡航費の高騰という、留学には深刻なマイナス要因が続きましたが、派遣についてはコロナ禍による影響は完全に無くなり、目前最好的足彩app感染拡大以前と同水準の学生を海外研修プログラムに参加させることを目標として活動した結果、1,036 人の学生が、無事に派遣プログラムに参加することができました。同様に、受入については海外協定校の学生にも渡航型の授業履修プログラム(サンドウィッチプログラム)や研究指導プログラムを提供し、目前最好的足彩appの留学生も含め1,246人の学生が芝浦工業大学に留学しました。タイ(バンコク)のサテライトオフィスの開設、グローバルPBLや授業履修プログラムが好調に進み、2024 年度を終えることができました。DE&I推進では、2013 年度男女共同参画推進室設置以降、特に女性の少なさが社会的課題である工学分野における女性教員の採用、女子学生の増加に全学的に取り組んでいます。国立大学での女性教員採用強化や国?私立理工系大学における女子学生推薦枠の設置が増えておりますが、芝浦工業大学における2024 年度の実績としては、女性教員18.7%(前年度19.2%)、学部学生21.8%(前年度19.8%)、大学院生17.6%(前年度17.9%、大学院進学率は男子49.6%、女子40.5%)と推移しており、日本において先導的役割を果たしています。また、女性職員については43.1%(昨年度42.2%)と微増しました。2024 年度には、芝浦工業大学が発行する証明書等には性別の記載をなくす取り組みや、オールジェンダートイレの試行、女性職員座談会「キャリアアップとWell-being」等を実施しました。芝浦工業大学では、働きやすい学びやすい環境の整備やシンポジウム、ワークショップなど学生?教職員の意識向上を図るイベントを定期的に開催しています。全ての人がWell-beingを感じられる環境の実現を目指しています。6.産学官連携の推進
芝浦工業大学では、「社会に学び社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神としており、産学官民との共創は、長く本学の教育研究活動に関わっています。大学が生み出す知を産業界等に移転し、イノベーションの創出により国際社会の発展に寄与することは大学の使命であり、大学の知の社会実装や新規事業の創出、アントレプレナーシップの素養を持つ人材の育成などの必要性を踏まえ、2024 年度は産学官民連携ポリシーの改定、複合領域産学官民連携推進本部の体制強化を行いました。教員個々の研究活動に目を向けると、国内企業との共同研究における教員1 人当たりの研究費受入額が全国上位に位置するなど、産学官民共創の成果は順調な伸びを見せています。また、CD / URA、知財やアントレプレナーシップ、起業支援等の専門人材により、「大学等の研究成果の社会実装に向けた知財支援事業(iAca)」(3 件)、GTIE GAP基金、東京都「大学発スタートアップ創出支援事業」、「大学との連携によるものづくり中小企業のイノベーション支援事業」採択を通じた教員の産学官民共創活動支援など、大学としての取組も進行しています。地域との共創も深化しており、2024 年度は豊洲スマートシティ推進協議会における学術研究WGの新設や、URとの持続可能な地域づくりの推進に向けた包括連携協定の締結、豊洲4 丁目団地での調査研究、さいたま市ゼロカーボンシティ共創推進プラットフォーム運営への参画等を実施しました。アントレプレナーシップに富む次世代のイノベーションリーダーを育成し、新規事業の創出や起業を促進することで社会に貢献することを目的とした学生向けピッチイベント、芝浦ビジネスモデルコンペティション(通称SBMC)は、第9 回を迎え、中高生を含む65 チーム261 人が参加しました。書面審査、セミファイナルを経た選抜8 チームがファイナルステージで様々なビジネスモデルを発表しています。
7.戦略的広報活動
大学ブランド力のさらなる向上を目的として、戦略的な広報活動を展開しました。具体的には、学部改編の情報発信、研究成果の周知、研究室の魅力紹介、学生による発信支援、各種イベントの広報など、多角的な取り組みを実施しました。まず、2025 年度から3 コース制へと移行するデザイン工学部デザイン工学科、並びに2026 年度より課程制を導入するシステム理工学部に関し、新たな教育内容や研究の魅力を正確かつ効果的に伝えることを重視し、工夫を凝らした紹介コンテンツを制作しました。これにより、受験生及び保護者に対するこれら新しい教育導入の認知度と理解の向上を図りました。また、教員の研究成果を積極的にプレスリリースやニュースリリースとして発信するとともに、研究室紹介動画の制作?公開を通じて、学内外への研究関連の情報提供を強化しました。加えて、在学生によるSNSを活用したキャンパスライフの情報発信も推進し、学生の視点から芝浦工業大学の魅力を発信する取り組みを行いました。更に、春先には日経「就職力ランキング」の総合ランキングにおいて私大1 位にランクしたことに伴って抜き刷り冊子を製作したことで、年間を通じて高校生や保護者への就職力PRに寄与しました。2024 年9 月20 日から10 月20 日にかけて開催された建築家展「PAPER SANCTUARY ?ウクライナ難民の現実と詩?」(坂茂展)には、延べ1,400 人以上の来場者を迎え、芝浦工業大学の発信力を示す良い機会となりました。また、国際女性デーに際しては、朝日新聞及び読売新聞において広告を掲載し、社会的課題への本学の姿勢を広く社会に示しました。これらの施策の成果として、大学公式Webサイトのトップページ来訪者数は6,795,416PVに達し、X(旧Twitter )のフォロワー数は13,758 人※(2024 年度目標:13,500 人以上)、YouTubeチャンネル登録者数は7,030 人※(同目標:7,000 人以上)となるなど、デジタルメディアを通じた情報発信の到達度も着実に向上しています。今後も、社会との接点を広げる広報活動を継続的に推進し、芝浦工業大学の教育?研究の魅力を多様な層に向けて発信してまいります。(※ 2025 年4 月16 日時点)8.DXの推進
芝浦工業大学では、2024 年度もDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に積極的に取り組みました。教育研究環境の整備については、全キャンパスのPC実習室を更新し、コンピュータベースドテスティング(CBT)も可能な柔軟な教育環境を整備しました。芝浦工業大学では2021 年度入学生よりPC必携化(BYOD)を実施していますが、従来PC教室の整備に要していた費用を、徐々にクラウドサービスやソフトウェアのサイトライセンス費用、無線LAN環境等のハード面での増強を図り、BYOD環境へ段階的にシフトしています。また、ScombZ(芝浦工業大学のLMS兼ポータルサービス)を更に高度化し、Microsoft Teamsとの連携を強化することで、授業運営やコミュニケーションの効率化を図りました。また、豊洲図書館では新たなゲートを整備し、昨年度にオープンしたラーニングコモンズとの動線を確保して、一体的な学習環境を整えました。教職員の業務効率化と時間創出に関しては、「芝浦業務効率化?DX推進プロジェクト」を大学全体で推進しました。このプロジェクトは、事務部署を横断したメンバーによって構成され、特にNotionというクラウドサービスを活用して、これまで部署ごとにバラバラに行われていた教員への依頼業務を一元化し、業務プロセスの見直しや改善提案を実施しました。創出された時間は教育?研究活動の質向上に充てられ、教職員の教育研究力を高める取り組みに結びついています。学術論文のオープンアクセス化推進については、国内外の政策動向に沿い、学術研究成果の透明性と利活用促進を目的として取り組んでいます。芝浦工業大学の取り組みが評価され、2024 年度文部科学省「オープンアクセス加速化事業」に採択されたことを機に、「SITオープンアクセス推進タスクフォース」を立ち上げました。同タスクフォースでは「SITオープンアクセス支援システム」の構築、「芝浦工業大学研究データ管理?公開ポリシー」の策定を完了させました。この支援システムは、教員がResearchmapに入力した論文情報を自動収集し、機関リポジトリへスムースに掲載可能にしています。また、研究データの管理?公開を支援するための「学認RDM」システムの導入を進め、研究成果の公開を一層推進しています。学修歴のデジタル化とマイクロクレデンシャルについては、2023 年度に刷新した証明書発行システムを教務システムと連動させ、特定の科目群や副コース、モジュール制の修了をデジタルバッジとして発行できる仕組みを新たに構築しました。これにより、学生自身が学びの成果をより明確に可視化でき、就職活動やキャリア形成に積極的に活用できる環境を整備しました。芝浦工業大学は今後もDX推進を通じ、学生や教職員の教育研究環境の向上を目指します。
9.学生募集?女子学生の拡充
2025 年度入試においては、前年度に引き続き、「より適切な入試方法による、より本学に適性を持つ学生の確保」を基本方針として
掲げ、以下3 点の重点目標について戦略的な施策を展開しました。
特別?推薦入試による入学者割合 :40%
女子学生比率 :30%以上
地方出身入学者比率の向上(創立100 周年時に25%以上を目標)
大学院進学率の引き上げ :60%以上
これら目標達成に向け、入試広報媒体の整備と併せて、オープンキャンパス、大学説明会等のイベントを効果的に運営しました。
まず、一般入試における延べ志願者数は38,507 人で、前年比108.8%と大幅に増加しました。入試実施にあたっては、入学定員の厳格な管理に努めましたが、最終的な入学者数は2,057 人で、入学定員1,851 人(秋入学を含まない)に対し超過率111.1%となりました。この内、特別?推薦入試による入学者数は906 人となり、入学定員に占める割合は44.0%と、前年の41.8%を上回りました。女子学生入学促進を目的として開催した女子志願者向けの「女子向けミニオープンキャンパス(女子座談会)」及び「女子高校生サマーインターンシップ」の参加者数は、それぞれ、429 人(前年比+280 人)及び86 人(前年比+29 人)となり、昨年を大きく上回るものとなりました。これらの取り組みにより、女子志願者への訴求力を大きく向上させ、女子学生の入学者数は以下のとおり増加しました。
?女子入学者数 :572 人(前年比126.7%)
?入学者全体に占める女子比率 :27.8%(前年:26.6%、+1.2PT)
?理工系女子特別入試による入学者数: 90人(前年比125.0%)
女子学生比率は目標である30%以上達成に向け着実に進展しています。
また、一都六県以外からの入学者確保に向けては、全国の進学校?工業高校等約40 校を「特別指定校」に指定し、優秀な生徒の推薦を直接訪問により依頼、今後は100 校に増加させる計画を立てており、それに伴うPR活動も積極的に行いました。加えて、キャンパス近隣の高校との連携も深め、高大連携協定を締結している学校法人佐藤栄学園(埼玉県さいたま市)が設置する栄東高等学校からの受験者数は、2020 年度の延べ90 人に対し、2025 年度は延べ1,198 人と飛躍的な増加を見せました。2023 年度より導入した地方出身者向け「朝日に輝く奨学金」については、支給対象や給付金額?人数を見直した他、国公立大学と同等の学費水準となる改定を行い、地方高校への周知活動を強化しました。これらの施策の結果、一都六県以外からの入学者比率は21.0%となり、前年より2.6PT増加しました。さらに、大学院進学率についても2021 年までは30%台で推移していたものが49%(2025 年3 月卒業生)へと増加しており、2027 年の創立100 周年までには60%を目標とし、今後はさらに70%へ引き上げることを目指しています。これら本年度の成果は、各種施策が実を結びつつあることを示しています。今後も引き続き、多様な背景を持つ優秀な学生の確保を目指し、広報及び入試施策のさらなる充実を図ってまいります。
掲げ、以下3 点の重点目標について戦略的な施策を展開しました。
特別?推薦入試による入学者割合 :40%
女子学生比率 :30%以上
地方出身入学者比率の向上(創立100 周年時に25%以上を目標)
大学院進学率の引き上げ :60%以上
これら目標達成に向け、入試広報媒体の整備と併せて、オープンキャンパス、大学説明会等のイベントを効果的に運営しました。
まず、一般入試における延べ志願者数は38,507 人で、前年比108.8%と大幅に増加しました。入試実施にあたっては、入学定員の厳格な管理に努めましたが、最終的な入学者数は2,057 人で、入学定員1,851 人(秋入学を含まない)に対し超過率111.1%となりました。この内、特別?推薦入試による入学者数は906 人となり、入学定員に占める割合は44.0%と、前年の41.8%を上回りました。女子学生入学促進を目的として開催した女子志願者向けの「女子向けミニオープンキャンパス(女子座談会)」及び「女子高校生サマーインターンシップ」の参加者数は、それぞれ、429 人(前年比+280 人)及び86 人(前年比+29 人)となり、昨年を大きく上回るものとなりました。これらの取り組みにより、女子志願者への訴求力を大きく向上させ、女子学生の入学者数は以下のとおり増加しました。
?女子入学者数 :572 人(前年比126.7%)
?入学者全体に占める女子比率 :27.8%(前年:26.6%、+1.2PT)
?理工系女子特別入試による入学者数: 90人(前年比125.0%)
女子学生比率は目標である30%以上達成に向け着実に進展しています。
また、一都六県以外からの入学者確保に向けては、全国の進学校?工業高校等約40 校を「特別指定校」に指定し、優秀な生徒の推薦を直接訪問により依頼、今後は100 校に増加させる計画を立てており、それに伴うPR活動も積極的に行いました。加えて、キャンパス近隣の高校との連携も深め、高大連携協定を締結している学校法人佐藤栄学園(埼玉県さいたま市)が設置する栄東高等学校からの受験者数は、2020 年度の延べ90 人に対し、2025 年度は延べ1,198 人と飛躍的な増加を見せました。2023 年度より導入した地方出身者向け「朝日に輝く奨学金」については、支給対象や給付金額?人数を見直した他、国公立大学と同等の学費水準となる改定を行い、地方高校への周知活動を強化しました。これらの施策の結果、一都六県以外からの入学者比率は21.0%となり、前年より2.6PT増加しました。さらに、大学院進学率についても2021 年までは30%台で推移していたものが49%(2025 年3 月卒業生)へと増加しており、2027 年の創立100 周年までには60%を目標とし、今後はさらに70%へ引き上げることを目指しています。これら本年度の成果は、各種施策が実を結びつつあることを示しています。今後も引き続き、多様な背景を持つ優秀な学生の確保を目指し、広報及び入試施策のさらなる充実を図ってまいります。
10.キャリア教育
芝浦工業大学のキャリア支援は、学生一人ひとりの考え方や希望、将来への展望を真摯に聴取し、その個々の事情に寄り添いながら丁寧な指導を行っており、その結果、毎年高い就職率を維持しています。創立100 周年(2027 年)を迎える目標として、有名企業400 社への実就職率40%以上、就職率100%を掲げ、2024 年度においても、相談窓口を早朝から夜間、日曜祝日も対応可能な体制を整え、ひとりでも多くの学生にアドバイスを行い、不安や悩み等の相談に応じました。また、企業の人事や採用経験者による「企業役員人事カウンセリング」も継続実施しました。これらの取り組みが、多くの学生の内定獲得につながり、2025 年3 月卒の就職率は99.3%となり、特に女子学生の就職率は100%を達成しました。有名企業400 社実就職率においては、41.2%となり、創立100 周年に向けた目標40%を上回る結果となりました。企業訪問では、採用実績の拡大、過去に実績のある企業との関係強化、新規企業の開拓等に努めました。また、優良企業の採用担当者をお招きした「芝浦工業大学企業懇談会」を開催し、2024 年度においては、300 社?500 人を超えるご参加をいただきました。ジャーナリスト浜田敬子氏と磐田副学長による対談「社会におけるDE&I推進の意義と芝浦工業大学の人材育成」では、理系女子のキャリア形成や採用時の課題等について意見を交わされ、参加企業様からは「採用活動のヒントになった」「DE&Iの視点から自社の取組を見直す機会となった」といった声が多数寄せられ、企業様との交流を一層深めることができました。また、芝浦工業大学の若手OB?OGによるパネルディスカッション(就活フェア)では、実体験に基づいた有益な情報を学生たちは入手していました。加えて「合同企業説明会」など毎年恒例の重要なイベントも実施し、就職支援の機会を多様な角度から提供しました。公務員採用においても成果が出ています。2024 年度の東京都職員採用(技術職)において、芝浦工業大学から33 人が合格し、全合格者338 人中約1 割を占める結果となり、過去3 年と比較して大幅な
増加となっています。この成果の背景には、芝浦工業大学卒業生の公務員採用経験者による指導体制があり、きめ細やかな支援が今回の結果につながったといえます。
11.学生支援の充実強化
■ 学生生活支援芝浦工業大学校友会?後援会との連携による就職支援、生活支援、課外活動支援を実施しました。また、2024年3月にオープンした芝浦工業大学熱海セミナーハウスは、学生?生徒が授業、研究室ゼミ合宿、課外活動で利用するほか、卒業生や教職員、その家族を含め多様なステークホルダーに活発に利用いただきました。
■ 課外活動支援
豊洲キャンパス研究棟7 階に学生団体専用フロアを開設しました。各団体の垣根を越えて交流することが期待されます。大宮キャンパスクラブハウス棟にて工作機器を使用する学生団体を対象に、学生センター主催の安全講習を実施しました。株式会社エスアイテックの寄付金で大宮キャンパスグラウンドのテントやレスキューベンチ等の備品購入、豊洲キャンパスアスレチックジム更衣室ロッカーの拡充を行いました。また、課外活動援助金の交付やエスアイテック育英奨学金(体育会?文化会で活躍している学生対象)を春秋募集し、より多くの学生に給付しました。なお、課外活動奨励金表彰団体及び主な成績は以下のとおりです。
<芝浦工業大学2024 年度課外活動奨励金表彰団体及び主な成績>
①自動車部
全日本学生ジムカーナ選手権大会(全国大会)(男子団体の部) 4 位入賞
機械工学科3 年 河原 輝さん:全関東学生ジムカーナ選手権大会(全国大会)(男子個人の部)5 位
②準硬式野球部
新関東大学準硬式野球2 部秋季リーグ戦(1 部昇格)優勝
③男子バスケットボール部
関東大学バスケットボールリーグ4 部 (1 次リーグ) 1 位
関東大学バスケットボールリーグ4 部 (2 次リーグ) 5 位
④アメリカンフットボール部
関東学生アメリカンフットボール連盟秋季リーグ戦2 部 (Aブロック) 4 位
機械機能工学科4 年 野口慧斗さん:関東学生アメリカンフットボール連盟秋季リーグ戦2 部リーグにて「2 部リーグ優秀選手賞
(ラッシング)」受賞
⑤アーチェリー部
関東学生アーチェリー連盟リーグ戦男子3 部(2 部昇格)2 位
環境システム学科1 年 浅井陽亮さん:全日本学生アーチェリー個人選手権大会出場
⑥柔道部
関東理工科四大学柔道対抗戦 優勝
全日本理工科学生柔道優勝大会 女子個人戦の部 3 位
東京理工科大学柔道優勝大会 準優勝
⑦サッカー部
東京都大学サッカーリーグ2 部(2 部残留)7 位
東京都大学サッカー連盟より「優秀チームマネジメント賞」を受賞
⑧硬式庭球部
機械機能工学科3 年 佐藤 壮さん:関東理工科大学硬式庭球連盟(男子シングルス)優勝
機械機能工学科3 年 山口達人さん:関東理工科大学硬式庭球連盟(男子シングルス)3 位
機械機能工学科3 年 布川 遼さん:関東理工系大学硬式庭球連盟(男子ダブルス)準優勝
建築学科3 年 良本優太さん:関東理工系大学硬式庭球連盟(男子ダブルス)準優勝
生命科学科3 年 山腰直奈さん:関東理工系大学硬式庭球連盟(女子ダブルス)準優勝
生命科学科2 年 関 美波さん:関東理工系大学硬式庭球連盟(女子ダブルス)準優勝
⑨剣道部
都市?環境コース1 年 岩永大輝さん:秋季関東理工科系大学剣道新人戦大会(男子個人戦)優勝
また建築系の活動においては、大学院理工学研究科の大学院生チームが、2025 年4 月19 日に行われた「サンゴバン国際学生建築コンテスト」日本大会(主催サンゴバングループ(東京都千代田区))で1 位に入賞し、フランス?リヨンで開催される世界大会に日本代表として出場するなど、グローバルな活躍も活発化しています。
その他の建築系の主な活動は以下のとおりです。
?建築学科 松山 こと子さん:全国合同卒業設計展「卒、24」最優秀賞
?建築学科 末松 拓海さん、中林 由佳さん:第11 回POLUS 学生?建築デザインコンペティション 最優秀賞
?建築学科 半田 洋久さん:せんだいデザインリーグ2025 卒業設計日本一決定戦 特別賞
12.附属?併設学校の強化、中高大連携と理系女子の育成
■ 併設校の強化少子化が進む中で、芝浦工業大学附属中学高等学校と芝浦工業大学柏中学高等学校の両校は、工学系大学の併設校としての独自性を明確に打ち出しながら、兄弟校として連携しながら社会情勢の変化や価値観の多様化に対応できる学校作り、校務運営に努めてきました。
附属中高は授業や特別講座など、さまざまな場面で大学との連携教育を行ってきました。今後も連携教育を通じて、理工系分野の魅力や楽しさを伝えていきます。柏中高は文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、理数教育の充実を図ってきました。更に、中高大の連携やグローバル教育に注力していきます。このように、附属?柏両校ともそれぞれの特色を生かした学校運営を進める中で、芝浦ブランドの価値を創造しながら、教育力の向上と魅力ある学校風土の醸成に努めてきました。今後は教員の働き方改革と、それに資するDX化を両校で協力しながら進めることで労働環境の整備や待遇改善を図り、魅力ある職場づくりに邁進していきます。
■ 芝浦工業大学附属中学高等学校
附属中学高等学校ではICT教育を基盤とし、STEAM教育や教科横断型授業を重視しています。多くの授業に理工系の視点を取り入れ、生徒が自ら興味を持ち、主体的に学ぶ姿勢を育み、確かな総合力を身につける授業を展開してきました。生成AIについても、『正しく使う』『正しく使えるように指導する』という方針のもと、多くの教科で徐々に活用を広げています。中学校では、2020 年度に開始した探究型授業(目前最好的足彩app探究)が4 年目を迎え、より充実した取り組みとなり、2025 年2 月の探究発表会においても高い評価を受けました。高等学校では新たに「工学探究」プログラムが始まり、「理工系の知識で社会課題を解決する」ことを目標に、中高一貫での探究型授業の実現を目指しています。今年度は、すべての教室に最新のワイド型プロジェクターを設置しました。機能面でも充実し、生徒からも好評を得ており、教育効果のさらなる
向上が期待されています。更に、2025 年度も「高等学校DX化加速化推進事業(DXハイスクール)」における補助金申請が認可され、今後も教育の質のさらなる向上を目指してまいります。
■ 芝浦工業大学柏中学高等学校
2030 年に創立50 年を迎える柏中学高等学校では新校舎建設プロジェクトが動き出しました。文部科学省のSSH第Ⅲ期に指定されたことも踏まえ、生徒たちの知的好奇心を育む教育環境の整備を目指して計画を進めています。
教育面では、生徒たちの自律的学習態度を醸成する課題研究(探究)を系統的に推進するため、「探究科」を設置しました。大学や企業、地域との連携を深化させ、中高一貫校ならでは特色を生かした授業の開発にも力を入れています。大学との連携では、個性的な公立大学である叡啓大学(広島)や三条市立大学(新潟)に加え、医療系では初となる東邦大学看護学部とも協定を締結しました。グローバル教育においては、ベトナム?FTP大学の附属高に加え、タイ?キングモンクット工科大学トンブリ校の附属高との連携が始まり、現地で開催されているフォーラムで生徒が発表する機会にも恵まれました。また、海外探究プロジェクトもスタート。第1 回目として、地熱や風力などの自然エネルギーで電力を100%賄っているアイスランド探究ツアーを企画し、地熱発電所の見学やオーロラ観察をしたほか、現地の高校生と交流しました。
13.キャンパスや諸設備の整備
■ 大宮キャンパス工事計画長年にわたり計画されてきたO-CAMP2027 が、システム理工学部の課程制移行に合わせ本格的に進められています。新施設の建設は現在予定通り進捗しており、2025 年12 月に完成します。新施設完成後は、6 号館の大規模改修工事、体育館解体後跡地に食堂を建設、最終的には正門周辺の整備を行い2027 年度完成の予定です。
■ 2024年度新設の主な施設設備
①大宮キャンパス:新施設
新施設の建設は、株式会社安井建築設計事務所の監理のもと2024 年3 月に鹿島建設株式会社にて工事が開始され、躯体が6 階まで完成しました。2025 年12 月20 日に竣工し、引渡し後、什器?備品の搬入、引越しを経て2026 年4 月に供用開始となります。この建物は、地上7 階建て、延べ床面積21,720㎡のRC造で、体育館、地域健康増進センター、ラーニングコモンズ、研究室、実験室等を配し、ZEB Readyを達成した環境に優しい建物となっています。
②豊洲キャンパス:デザイン工学部改組に向けた本部棟整備
2028 年度に予定しているデザイン工学部の定員増及び豊洲キャンパス一貫化に向け、施設整備計画を策定しました。2024 年度には第一期工事として、本部棟6 階、12 階に学生ラウンジや多目的室等を整備しました。
■ 2024年度の主な施設設備の維持管理
①豊洲キャンパス空調設備更新工事
竣工後19 年が経ち、機器の更新時期が過ぎました。2024 年度は研究棟4 階及び9 階の空調の更新を行いました。
②大宮キャンパス脱炭素先行地域の対応
省エネ対策として、3 号館?4 号館?図書館の照明をLEDに交換しました。また、3 号館及び先端棟の空調更新を行いました。
③柏中学高等学校グランド整備工事
グランドに敷設されている人工芝を経年劣化のため全面貼り替えを行いました。
■ 次年度以降に向けての計画?検討
①O-CAMP2027 の2 期計画の検討
6 号館改修工事の基本設計が完了したので、2025 年6 月に施工業者を選定し、実施設計完了後2026 年4 月に改修工事を行う予定です。また、体育館解体の計画を進めるとと
もに食堂棟の施工業者を選定し、実施設計に着手します。
②デザイン工学部改組に向けた本部棟整備
2028 年度に予定しているデザイン工学部の改組に関連し、増加が見込まれる教員及び学生の教育?研究スペースを確保するため、本部棟12 階、13 階に研究室、オープンラボ、多目的室等の整備を計画しています。既にデザイン工学部と連携しながら基本構想の策定に向けた検討を開始しており、2025 年度中の取りまとめを予定しています。
③柏中学高等学校再編計画に向けた検討
開校44 年を迎えた柏中学高等学校は建物や設備が老朽化しています。昨年度は堀越英嗣ARCHITECT5 にて建替えの基本設計を行いました。今後はコストダウンのために計画の調整を行い、施工者を選定していきます。
14.リスクマネジメント体制の強化
■ 大震災への備え2024 年元日に発生した能登半島地震をはじめ、近年、全国的に大規模災害が頻発しています。これを受けて、芝浦工業大学では首都圏に立地するキャンパスにおいて、今後想定される大震災に向けた備えを一層強化する必要があると認識しています。
2024 年度は、防災専門のコンサルタント会社の協力を得て、以下の取り組みを実施しました。
?教職員を対象とした防災意識調査
?理事長及び学長へのトップインタビュー
?災害対策本部メンバーを中心とした研修
また、豊洲キャンパスでは、本部棟の工事期間中に一時中断していた江東区との「帰宅困難者の受入れ等に関する協力協定」について、施設状況に合わせて内容を見直し、再締結しました。
あわせて、学生?教職員用の避難場所や備蓄物資の整備?配置を進めたほか、外部からの帰宅困難者の受け入れエリアとして「体育館」を指定し、建築家?坂茂氏による紙管を使用したパーテーションシステムを導入することにより、プライバシーに配慮した受け入れ準備を行いました。水や食料といった外部者用の備蓄物資についても、東京都の補助金を活用し、都の帰宅抑制推奨期間である3 日間分を確保?保管済みです。
■ 薬品?危険物の安全管理
工業大学として、教育?研究活動においては多種多様な薬品や危険物(毒物、爆発物等)を扱っており、その安全な保管?管理は極めて重要です。2024 年度は、2017 年に制定された「学校法人芝浦工業大学化学物質管理規程」及び細則の改定を行いました。また、学内でのヒヤリハット事案の発生や、他大学での事故を教訓に、新たに検討会を設置し、芝浦工業大学における薬品管理体制の再検討を進めました。
その結果、2025 年度から以下の管理体制を本格導入する準備を進めています。
?薬品保管庫の鍵を「キーボックス」で使用履歴ログを取り管理強化
?薬品管理システム「IASO(イアソ)」の全薬品使用研究室への導入
これらの取り組みにより、薬品や危険物の取り扱いに対する安全性と透明性を高め、事故の未然防止を図ってまいります。
15.地域貢献?社会貢献
芝浦工業大学は、「地域と共にある大学」として、地域社会との連携を通じた教育?研究?社会貢献活動を一層推進し、産学官連携の中核的な存在となるべく多様な取り組みを展開してまいりました。まず、地域住民や自治体との交流を目的とした各種地域イベントとしては、昨年度に引き続き小学生を対象とした「豊洲小学生絵画コンクール」や地域文化の醸成に貢献する「豊洲水彩まつり」、更に豊洲キャンパス周辺企業と協業したまちづくり活性化イベント等を積極的に参画しました。また、豊洲キャンパスでは、株式会社坂茂建築設計による本部棟1 階に設置された「SITグローバルカフェ」及び「銀座シシリア豊洲店」が、教職員?学生に加えて地域住民にも広く利用されており、地域における日常的な交流拠点として機能しています。加えて、来校者の憩いの場である「豊洲フラワーガーデン」や、研究棟トップステージに設置された親子向け「シバウラキッズパーク」なども、大学の新たな地域貢献の象徴となっています。また、芝浦工業大学の公開講座は、大学の専門的知見を社会へ還元し、地域住民をはじめ多くの方に広く生涯学習の機会を提供する重要な手段として展開されており、地域住民のQOL(生活の質)向上に寄与しています。特に、子どもを対象としたSTEAMプログラムは、将来の科学技術人材の育成に資することを目的に、「ものづくり」に対する興味?感心を喚起するプログラムの充実に注力しました。更に、豊洲みらいプロジェクト、近隣小学校への出張授業、港区民大学、子ども大学など、自治体からの依頼による講座も精力的に実施しました。また、2024 年度に新たに開設された「熱海セミナーハウス」において、熱海市社会教育協議会と連携して公開講座を実施し、地域との新たな接点づくりを進めております。これら、「芝浦工業大学らしさ」を反映した特色あるアウトリーチ活動として、公開講座を計36 講座開講し、1,000 人以上の参加者を迎える成果を得ました。これらに加えて、教学部門の協力のもと、2022 年度より開始した履修証明プログラムの拡充を図り、社会人を対象としたリカレント教育の充実に努めてまいりました。また、2023 年度より大阪公立大学より主催を引き継いだ「高校化学グランドコンテスト」では、芝浦工業大学主催として2 回目の大会を開催し、全国から審査を通過した99 チームが参加。高校生の化学への探究心を育む場として、高い評価を得ました。
大宮キャンパスにおいては、さいたま市?埼玉大学?東京電力パワーグリッド埼玉総支社?芝浦工業大学の4 者が連携し、「脱炭素先行地域」事業に選定されたことを契機に、地域脱炭素への包括的な取り組みを開始しました。これにより、地域の魅力向上と地方創生を推進します。更に、システム理工学部の学部再編とキャンパスマスタープランに基づき、さいたま市との連携を強化。スポーツ健康分野を中心とした実践的な連携モデルの構築に取り組んでいきます。芝浦工業大学は、今後も地域との連携を重視し、教育?研究?社会貢献を通じて持続可能で豊かな地域社会の実現に向けた先導的な役割を果たしてまいります。