芝浦工大、脳神経再生に効果が期待されるビタミンK誘導体を開発 アルツハイマー病などの神経変性疾患への治療効果に期待

2025/09/16
  • プレスリリース
  • 研究

芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田 純)システム理工学部の廣田佳久准教授(生化学研究室)と須原義智教授(創薬化学研究室)は、神経前駆細胞を神経細胞へ分化を促す新たなビタミンK誘導体を開発しました。

この新しい化合物は、ビタミンKの側鎖構造に神経分化を促進することで知られるビタミンAの活性代謝物「レチノイン酸」の構造を組み込んだハイブリット型誘導体であり、それぞれの生理活性を有しています。
この誘導体は、血液脳関門を通過して脳内に移行し、天然のビタミンKと比較して神経前駆細胞を神経細胞へと著しく分化させることが分かりました。
また、脳内に移行後、時間の経過と共にもっとも活性の高いビタミンK2(MK-4)に変換されることが確認されました。
新たなビタミンK誘導体は長時間にわたって脳神経細胞に対して効果が継続します。

新しい化合物は神経細胞を失った脳の機能を回復させる可能性があり、治療薬が血液脳関門で阻害されることが課題のアルツハイマー病など、神経変性疾患に対する再生医療への応用が期待されます。

 

ポイント

  •  誘導体として薬剤の到達を阻害する血液脳関門を通過し、脳内で神経分化を促進。時間経過とともに MK-4へ変換され長時間効果が継続
  •  神経細胞の再生によって、神経変性疾患の進行抑制や治療への貢献に期待
 

治療薬も阻害するバリアの存在が、治療の課題に

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患では、脳の神経細胞が徐々に失われ、記憶障害や運動機能の低下を引き起こします。
これらの疾患は「血液脳関門」によって治療薬の到達が難しいという共通の課題を抱えています。
現在の治療法は症状を緩和しますが、根本的な治療には至っていません。

脳に届いて、効果が長時間持続

 

芝浦工業大学の廣田佳久准教授と須原義智教授らの研究チームは、神経分化?保護への関与が示唆されているMK-4に、その活性を高めるためにレチノイン酸などを組み合わせ、「ハイブリッド型ビタミンK誘導体」を合成しました。この新しい化合物は、有害物質だけでなく薬の脳への到達も阻害する血液脳関門を通過し、脳内で安定して働くことが実験で確認されました。天然のビタミンKよりも効率的に、MK-4に変換されることも分かりました。
さらに神経前駆細胞を神経細胞へと分化させる力が非常に高く、MK-4の約3倍の効果を示しました。これによって変換前後で長時間にわたって神経分化促進の効果が継続します。
この研究は、アメリカ化学会「ACS Chemical Neuroscience」に掲載されました。

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ビタミンK誘導体はMK-4に変換される。図中のグラフは、投与後24時間経過し誘導体の濃度が減衰した後でも、MK-4の濃度が高まっていることを示す

将来の治療薬に期待大

この?法は、少数の量?ビットで多関節ロボットの姿勢を表現できるため、現在の開発段階の量?コンピューター(NISQ)環境でも実装可能です。
将来的には、ヒューマノイドロボットや多関節マニピュレータのリアルタイム制御、障害物回避、エネルギー最適化などへの応?が期待できます。
また、量?フーリエ変換などの?度な量?アルゴリズムとの組み合わせにより、さらなる性能向上も?込めます。

 

論?情報

タイトル

A New Class of Vitamin K Analogues Containing the Side Chain of Retinoic Acid 1 Have Enhanced Activity for Inducing Neuronal Differentiation
https://doi.org/10.1021/acschemneuro.5c00111

掲載誌

「ACS Chemical Neuroscience」(アメリカ化学会)
https://pubs.acs.org/journal/acncdm
Cite this: ACS Chem. Neurosci. 2025, 16, 15, 2812–2828

著者(芝浦工業大学所属を抜粋)

システム理工学部 准教授 廣田 佳久 (生化学研究室)、
大学院理工学研究科 システム理工学専攻 2020年修了 佐藤 大輝 (創薬化学研究室)、
同 2025年修了 渡邉 莉菜 (生化学研究室)、
同 2021年修了 佐野 翔 (生化学研究室)、
同 2022年修了 浅野 公志 (生化学研究室)、
システム理工学部 生命科学科 2019年卒業 柴橋 佑希 (創薬化学研究室)、
同 2022年卒業 安田 由美 (創薬化学研究室)、
大学院理工学研究科 システム理工学専攻 2020年修了 髙木 勇太 (生化学研究室)、
同 2021年修了 山下 裕太郎 (生化学研究室)、
同 2024年修了 呉 雨馨 (生化学研究室)、
システム理工学部 生命科学科 2020年卒業 荒川 実樹乃 (生化学研究室)、
同 2023年卒業 米谷 優里 (生化学研究室)、
大学院理工学研究科 システム理工学専攻 修士2年 中川 胡桃 (生化学研究室)、
同 2022年修了 古川 奈津子 (創薬化学研究室)、
システム理工学部 教授 須原 義智 (創薬化学研究室)

本論文はジャーナルのカバーアートにも選ばれています。
August 6, 2025Volume 16, Issue 15Pages 2747-3081

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